「AIオフィスの育て方」という教材がSNSで流れてきて、気になっている人も多いと思います。AI社員を採用して、育てて、仕事を任せる。発売から数日で2,000部を超えて、レビュー欄は4.9のほぼ絶賛。
私は普段からClaude Code(この教材の中身を動かしているAIツール)を毎晩使っている元エンジニアです。その立場で980円払って買って、中身のファイルまで全部開けて分解しました。先に結論を書くと、これは「買っていい人」と「買わなくていい人」がはっきり分かれる教材です。私は後者でした。でも前者の人にとっては、たぶん980円の価値があります。
この記事では、どちらなのかを自分で判定できるところまで書きます。
「AIオフィスの育て方」とは何が届く教材か
ゆーき丸さんがBrainで販売している教材で、私が買った時点では発売記念の980円でした。その後実際に値上げされて、この記事を書いている時点(2026年8月)では1,480円の買い切りです。今後も段階的に上げると明記されています。
「教材」と書きましたが、実体は読み物ではありません。ZIPファイルで「オフィス一式」が届きます。解凍すると、AI社員のプロフィール・仕事のルール・研修用の資料・オフィスの画面(ブラウザで開くローカルアプリ)がフォルダごと入っていて、手順どおりに進めると自分のパソコンの中に「AIオフィス」が開業します。
やることはSTEP 0〜9の12章構成。オフィスを開業して、1人目のAI社員に仕事を頼んで、研修で育てて、2人目を採用して……という流れを、育成ゲームの感覚で進める作りです。

注意点がひとつ。この教材はClaude Codeの有料プランが別途必要です。AI社員を動かすエンジンがClaude Codeなので、教材の980円とは別に、月額のAI利用料がかかります。ここは買う前に知っておいたほうがいいです。
買った理由と、実際にやったこと
私はココナラでExcel自動化の出品をしたり、このブログを書いたりする作業でClaude Codeを毎晩使っています。「AI社員を採用して任せる」という枠組みが、自分のやり方と何が違うのか知りたくて買いました。正直に言うと、SNSで何度も目に入って気になっていた、というのも大きいです。AIツールを実際に触って比べる記事は、以前にもPerplexityとChatGPTの比較でやっています。
やったことは次の4つです。
- 手順どおりにオフィスを開業して、AI社員(ナビゲーター)に相談を1件投げて、納品を受け取った
- 中身のファイルを全部開けて、仕組みを分解した(エンジニアの職業病です)
- 数日置いて、「このオフィスで次に何をやるか」を考えた
- ライター担当に記事を1本、画像担当にバナーを1枚、実際に作らせた(結果は後述)
3つ目が重要でした。後述します。
中身を分解して分かった仕組み
エンジニア視点でタネ明かしをします。といっても教材の中身の転載はしません(有料教材なので)。仕組みの話だけです。
「AI社員」の正体は、フォルダとテキストファイルです。社員1人につきフォルダが1つあって、中に「仕事のルール」「成長記録」「研修で渡した資料」のファイルが入っています。「社員が育つ」というのは、このフォルダにファイルが貯まっていって、AIが仕事のたびにそれを読んでから作業する、ということです。
これを聞いて「なんだ、それだけか」と思うか「なるほど、賢い」と思うかが、実はこの教材との相性判定になっています。
なお、ここで書いたのはあくまで概念の話です。実際のフォルダ構成やどう動かしているかの詳細は、教材の巻末に「種明かし」の章があって、フォルダ名まで全部開示されます。仕組みを知りたい人には、そこがいちばん面白い章かもしれません。
公平のために書くと、作りは真面目です。AIが大事なデータを誤って消さないようにする安全装置が仕込まれていたり、失敗したら自動で元に戻せるアップデート機能があったり、購入者の報告を受けて改訂した形跡が日付つきで残っていたり。この手の情報商材を買ったのは初めてなので相場は語れませんが、中身を開けた限りでは手抜きの跡がありません。「稼ぎ方は教えません」と販売ページに明記してあるのも誠実です。

正直な感想:期待とのズレが2つあった
ズレ1:双方向だと思っていたら、一方向だった
買う前は、AI社員と会話しながら仕事を進めるイメージを持っていました。実際は違います。画面から依頼を置くと、AIが裏で無人実行されて、成果物が置かれて終わり。途中で「ここはどうしますか?」と聞かれることはありません。仕組み上、聞けない作りになっています。
コメントを返すと社員が育つ、という仕掛けはあります。ただそれも、コメントが記録ファイルに書かれて次回の仕事のときに読まれる、という流れで、会話というより「記憶付きの一方通行」です。嘘ではありません。ただ、「育成」という言葉から想像する双方向のやり取りとは距離があります。
ズレ2:開業した後、任せる仕事に悩んだ
開業して社員に1件仕事をさせたあと、手が止まりました。「で、次はこのオフィスで何を進めるんだっけ」と。
教材はオフィスを動かすところまでは丁寧に連れて行ってくれます。でもその先は入っていません。何の仕事を任せるか、どう稼ぎにつなげるかは自分で考える必要があります(販売ページにもそう書いてあります)。オフィスという器はできたのに、入れる業務は自分で持ち込むしかない。私の場合、持ち込める業務は既にClaude Codeで直接回していたので、わざわざオフィス経由にする理由がありませんでした。
タネがわかって思ったのは、この教材の一番の特徴は「自分が普段やっていることに、面白そうに見えるガワを作る」ことなんだな、ということです。これは悪口ではありません。そのガワのおかげで、ターミナルの黒い画面に触れない人でも同じ仕組みを使えるようになるので。ただ、既に中身を直接触れる人にとっては、ガワは遠回りです。
使っていて気になった点も3つ
期待とのズレとは別に、数日使って気になったのはこの3つです。
- 処理が遅い。私の場合、依頼を出してから納品まで16分かかりました(3件まとめて頼んだ場合)。「育てる」ための感想への反応も同じ列に並ぶので数分待ちです。裏の動きを覗くと、遅さの正体は文章を書く時間ではなく事務処理でした。依頼のたびにAIをゼロから起動して、社内ルールや研修資料を読み直してから書き始める。納品後も、記帳や依頼票の更新を済ませてから退勤する。体感、書く2割・事務8割です。ただしこの事務こそが「記録が残る」「育つ」を成立させている仕組みなので、遅さはコンセプトの対価とも言えます。感覚としては、AI社員との会話というより文通です
- 進捗が分からない。「作業中」としか表示されず、どの仕事の何割まで進んでいるのかが見えません。実際に私は「遅いだけなのかハングしているのか」の区別がつかず、不安になりました
- 依頼を置いただけでは動かない。受信箱に依頼を入れても、実行の号令をかけるまで積まれたままです。さらに、AIの作業中に追加した依頼はその回では処理されず、次の実行まで放置されます(そのことは画面からは分かりません)。常駐の社員がいるオフィスというより、「ボタンを押した時だけ出勤する」感覚に近い
どれも致命的ではないですが、「AI社員がオフィスで働いている」というイメージで買うと、このあたりで現実に引き戻されます。
後日、本当に記事を1本書かせてみた
「任せる仕事に悩んだ」で終わるのはフェアではない気がして、後日ライター担当に「AIオフィスを始めてみた、という切り口でブログ記事を書いて」と依頼してみました。オフィス自身のことを書かせる、というテストです。
結果は、正直に言うと想像より良かったです。メリット・デメリット・向き不向きまで構成され、「Claude の有料プランが前提」「処理に数分かかる」と自分の弱点まで書いてある。会社ノート(事業情報のファイル)がほぼ空の状態でこれなら、下書き係としては成立しています。
ただし、決定的な問題も1つ見つけました。体験談の捏造です。記事の中に「感想を3回返した後の下書きは構成が変わってくる」という一文がありましたが、私は感想を3回返していません。このライターには「記録にない数字やエピソードを書かない」というルールが最初から設定されているのに、それでも起きました。ルールを書いてもAIの創作は完全には防げないということです。これはこの商品の欠陥というより、AIに文章を任せること全般の限界だと思います。納品物を確認せずそのまま公開する使い方は、この教材でもやはり危険です。
「育成」も検証してみた:ちゃんと育つ。ただし癖がある
続けて、売りである「育成」も試しました。「ですます調で書いてほしい」と1行渡して、同じ記事を作り直させる実験です。
結果、文体は完璧に変わりました。しかも面白いのは中の動きで、私の1行の指示が、AI側で「タイトルの語尾はこうする」「箇条書きの末尾はこう締める」といった5項目のルールに展開されて記録され、次の納品に適用されていました。「育つ」の仕組みは飾りではなく、本当に機能します。
一方で癖も2つ見えました。「文体を変えて」と頼んだだけなのに、記事の構成も内容も丸ごと書き直されてきたこと(人間の部下なら語尾だけ直す場面です)。それと、自分で作ったルールに「タイトルも『〜だった』を避ける」と書いておきながら、タイトルは「〜だった」のままだったこと。育ちはするけれど、細部までは行き届かない。このあたりの距離感を知った上で使うツールだと思います。


買っていい人・いらない人
ここまでの話を判定基準にまとめます。
買っていい人
- Claude Codeを触ったことがない。ターミナル(黒い画面)は無理
- ChatGPTは使うけど「AIに仕事を任せる仕組み」は作ったことがない
- 読むだけの教材で挫折したことがあって、手を動かして体験したい
このタイプの人には、1,000円台で「AIに仕事を任せるとはどういうことか」を安全に体験できる、よくできた入口だと思います。データを壊さない安全装置や、つまずいたときの自己修復まで用意されているので、初心者が事故りにくい設計です。
いらない人
- すでにClaude Codeを使えている(この教材でやることは、ほぼ全部素のClaude Codeでできます)
- AIオフィスで「稼ぎ方」を学びたい(入っていません。販売ページの「向いていない方」にも明記されています)
- AI社員と対話しながら仕事を進めたい(一方向です)
- せっかちな人・進捗が見えないと不安になる人。1件数分〜十数分の文通ペースで、途中経過は見えません。ChatGPTのように文字がすぐ流れてくる体験を想像していると、確実にストレスになります
4.9という数字の読み方
レビュー欄の4.9という数字は、点数を条件にした特典によるものではありません(特典はレビューを投稿した人全員が受け取れます)。ただ、特典があると買った直後にレビューが書かれやすくなります。実際に並んでいるレビューも「これから育てていくのが楽しみ」といった、使う前に書かれたものが目立ちます。
つまり4.9は使い込んだ後の評価というより、第一印象の平均に近いと考えて読むのが安全です。私自身、初日の印象は良くて、遅さや進捗の見えなさに気づいたのは数日たってからでした。点数ではなく、自分が上の「買っていい人」に当てはまるかで決めるのをおすすめします。
まとめ
まとめ
- 「AIオフィスの育て方」は、Claude Codeを初心者向けの「オフィス画面」で包んだ体験型キット。作りは真面目
- AI社員の正体はフォルダ+テキストファイル。やり取りは双方向ではなく、記憶付きの一方向
- ターミナルに触れない人には価格分の価値あり。すでにClaude Codeを使える人には不要
- 稼ぎ方は入っていない。Claude Codeの有料プランが別途必要
私自身は「いらない人」側でした。でも、980円でそれがはっきり分かって、自分が毎晩やっていることが初心者にどう見えるかも分かったので、授業料としては安かったと思っています。買ったものを実際に使って記事にする、というこの検証は、収益0の時点でブログを見直したことの続きでもあります。もともと「1円稼ぐまでの実験」として始めたブログなので、980円の検証もその実験の一部です。
私の購入後に実際に一段階値上げされました(980円→1,480円)。今後も段階的に上げると告知されているので、「買っていい人」に当てはまった場合、早いほうが安いのは事実です。
※以下は紹介リンクです。ここから購入されると、私に740円(販売価格1,480円の50%)の紹介料が入ります。レビュー内容がそれで変わらないように、判定基準ごと先に書きました。
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